知らなきゃ損!フリーランスエンジニアが経費にできるものと注意点【2021年版】
2021年3月15日 掲載
「フリーランスエンジニアになったけど、確定申告について全然分からない。何が経費にできて何が経費にできないのか」
本記事ではこのような悩みを抱えた方が対象となります。
フリーランスエンジニアは個人事業にあたるので、確定申告や経費の計上は自分で行うのが普通です。
税理士に代行することも可能ですが、代行費用がかかるため駆け出しフリーランスの頃は自分でやる人が多いです。
ただ、確定申告は結構複雑で時間がかかってしまうこともあります。
特に難しいのが、何を経費として計上するかというところ。
経費を申告しないで売上だけ申告すると、税金が会社員のときよりも増えてしまう可能性があります。
そのため仕事で使ったお金はきちんと計算し、経費として申告することが重要です。
しかし、経費にできそうなものでも、意外と経費にできない場合もあります。
そこで本記事では、フリーランスエンジニアが経費にできるものとできないものを紹介します。
加えて、経費を計上する場合の注意点も4つ解説しますね。
確定申告でつまずいている方はぜひ本記事で経費について学んで頂けたらと思います。
1.経費計上出来るもの
フリーランスエンジニアはお店を開店する訳ではないため、経費にできるものがないと思われるかもしれません。
しかし実際はフリーランスエンジニアでも経費にできるものはたくさんあるのです。
フリーランスエンジニアが経費計上できるものは以下です。
- パソコン
- 周辺機器
- インターネット通信費
- 交通費
- 電気代
- 書籍代
- 家賃
- 机、椅子
- ソフト
フリーランスエンジニアなら、これらにお金をかかっていることが多い筈です。
仕事で使っている場合なら基本的に経費として計上することができます。
それでは1つ1つなぜ経費にできるのかみていきましょう。
①パソコン
フリーランスエンジニアなら、パソコンは業務で必須の筈です。
開発作業をスムーズに行うために、スペックの高いパソコンを購入している人も多いでしょう。
仕事で使うパソコンを購入した場合、経費として計上して問題ありません。
ただしパソコンの場合計上の仕方が少し複雑な点に注意です。
10万円未満のパソコンの場合「消耗品費」として通常通り計上できますが、10万円以上のパソコンの場合「減価償却費」として一括計上することになります。
なぜなら、10万円以上のものを購入した場合、固定資産となるからです。
固定資産の場合、耐用年数に応じて減価償却費として計上しないといけません。
ただし、青色申告をしている場合は例外です。
青色申告の場合「少額減価償却資産制度」により、金額が30万未満なら一括計上できることになっています。
このように、パソコンは金額や申告方法によって扱いが異なるので注意しましょう。
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②周辺機器
フリーランスエンジニアの場合、パソコンの周辺機器も同じく経費として計上できます。
たとえば、マウスや外部モニター、ハードディスク、充電器など、業務で使うものは一通り経費にできます。
周辺機器も良いものを購入する場合、結構高くついてしまうことが多いので、経費にした方が良いですね。ただし、音楽を聞く用のヘッドホンなど業務と関係ない周辺機器は経費として認められないので注意です。
また、経費として計上するには領収書やレシートが必要なので忘れず保管しておきましょう。
③インターネット通信費
フリーランスエンジニアならインターネットも必ず仕事で使います。
そのため、インターネット料金やプロパイダー使用量は「通信費」として認められます。
また、スマホも業務で使うのであれば経費計上できます。
ただし、インターネットは仕事以外に趣味で使うこともあると思います。
そのため、全額を経費として計上することはできず、仕事で使用する時間で按分して申告することになります。
たとえば、仕事で8時間ネットを使うのであれば、インターネット料金の1/3を経費として申告します。
このように確定申告のときは、趣味と仕事で使った分を分けることが基本です。
なお、ブログなどを運営している場合、ドメイン代やサーバー代も通信費にすることができます。
フリーランスエンジニアの場合、通信費の項目はよく考えて申告することになるでしょう。
④交通費
クライアントとミーティングを行ったり仕事場まで移動したりするときに電車やバスを使う場合、交通費を経費として申告できます。
また、車を使う場合も駐車場料金や高速道路の料金、ガソリン代を経費にできます。
交通費はフリーランスの場合でも結構かかるので、経費として申告した方が良いです。
ただし、プライベートで旅行に行くなどした分は経費として申告できません。
そのため、プライベート用と仕事用で領収書は分けておくのがおすすめです。
また、ICカードを使う場合は、カードを移動用で使うだけにしてコンビニなどでは使わないようにしておくと、申告が楽になりますよ。
⑤電気代
フリーランスエンジニアは自宅で作業する場合が多いため、電気代が結構かかります。
特に夏場のエアコン代は侮れませんね。
自宅で作業している場合は、電気代を経費として申告することが可能です。
ただし、申告できるのはインターネット通信費と同様、仕事で使用した時間分のみです。
また、ガス料金や水道料金なども自宅が仕事場なら申告ができます。
やはりプライベートで使用した電話代などは申告ができないので注意です。
なお、電気代を経費にする場合は、電気料金等支払証明書を領収書代わりとして提出できます。
電気料金等支払証明書は電力会社に問い合わせれば発行してもらえます。
⑥書籍代
エンジニア職は技術書を購入する場合が多いですが、これも書籍代として経費計上できます。
技術書だけでなくビジネス本も仕事で使うものであれば経費にできます。
書籍の領収書やレシートも忘れずに保管しましょう。
電子書籍であれば、サイト内で領収書を発行できる場合が多いです。
なお、仕事で使わない漫画や小説などは経費として認められないので注意です。
仕事に関係する本だけ経費として計上しましょう。
⑦家賃
自宅を仕事場としている場合、家賃も経費にすることができます。
ただし、全額を経費として計上することはできません。
家賃を経費にする場合、家の面積のうちどれくらいの割合を仕事で使っているか計算する必要があります。
たとえば、自宅の半分を作業場として使っているなら、家賃の半分の経費として計上することが可能です。
家賃を経費にする場合、仕事場をきちんと分けていないと、按分しにくので注意しましょう。
なお、コワーキングスペースで仕事している場合、その使用料金も経費にできます。
カフェで仕事をする場合、飲み物代は「会議費」として申告できますが、食べ物代は申告不可なので注意です。
このあたりは常識の範囲で考えましょう。
また、引っ越し費用も経費として申告することが可能です。
家賃は大きいお金ですので、経費にできるかどうかしっかり見極めましょう。
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⑧机、椅子
フリーランスエンジニアはずっと座って作業しますので、机や椅子は良いものを選びたいですよね。
仕事に使う机や椅子も、経費として計上することができます。
また、基本的に仕事で使う家具は経費にできるため、ボックスや照明などもありです。
ただし、10万円以上するものはパソコン同様、固定資産扱いですので注意してくださいね。
また家具以外にも、プリント用紙や筆記用具など、仕事で使う消耗品も経費計上可能です。
こういった細かい雑費のレシートも取っておくと良いですよ。
ただし仕事に関係のない家具や消耗品は経費として認められません。
⑨ソフト
フリーランスエンジニアやWebデザイナーの場合、Adobe製品を使うことが多いと思います。
Adobeなどの有料ソフト料金も経費計上できます。
また、確定申告で使う会計ソフトなども経費にすることが可能です。
ただし、趣味で使っているソフトなどはやはり経費にできないので注意です。
2.主な経費に出来る一覧
フリーランスエンジニアが経費にできるものをまとめました。
「これって経費にできるんだっけ?」と思うものがあれば、ぜひこちらを参考にしてくださいね。
経費にできる | 注意点 |
---|---|
パソコン | 10万以上なら固定資産 |
周辺機器 | マウスや外部モニターが該当 |
インターネット通信費 | 郵便料金も含まれる |
交通費 | プライベート用と混同しないよう注意 |
電気代 | 仕事で使う時間を計算して経費にあてる |
書籍代 | プライベート用の本は不可 |
家賃 | 仕事で使うスペース分を計算して経費にあてる |
机、椅子 | 仕事で使わない家具はNG |
ソフト | 趣味で使うソフトはNG |
フリーランスエンジニアでも、意外と経費にできるものは多いことが分かります。
3.注意!経費に出来ないもの一覧
ここまでフリーランスエンジニアが経費にできるものを紹介してきました。
パソコンを使うような仕事でも、意外と経費にできるものが多いことがお分かり頂けたでしょうか?
ここからは逆に、フリーランスエンジニアが経費にできないものを紹介していきます。
意外と経費にできそうなものでも無理なことが多いので要注意です。
経費に出来ないもの一覧も同じ用に表にまとめました。
こちらも確定申告の準備で使って頂けると幸いです。
経費にできない | 経費にできない理由 |
---|---|
プライベートで使ったもの | 仕事で使うものしか経費にできないのが基本 |
引っ越しのときの敷金 | 退去時に返却されるものだから |
美容費、エステ | 仕事に直接は関わらないから |
所得税、住民税 | 仕事に関係なく支払う義務があるものだから |
自分の健康診断 | 経費になるのは従業員の健康診断のみ |
法令違反による罰金など | 罰則効果を減らさないようにするため |
これらを経費にしてしまうと、税理士からチェックが入る可能性があるので注意です。
経費計上できない理由について詳しく解説していきますね。
①プライベートで使ったもの
仕事ではなくプライベートで使ったものは経費にすることができないので注意です。
たとえば、趣味の旅行代や書籍代、消耗品などは経費として計上できません。
また、家賃やインターネット料金も全額は経費にできず、仕事で使用する分按分して申告します。
プライベートで購入したものと仕事用で購入したものは、分けておくことが重要です。
②引っ越しのときの敷金
引っ越しにかかるお金や家賃は経費にできますが、敷金は経費にすることはできません。
なぜなら、敷金というのは退去時に返却されるものだからです。
家賃を経費として申告する場合は、敷金は除外しておきましょう。
③美容費、エステ
美容費やエステ代も基本的には経費として計上できないと考えて良いです。
こういったものは仕事に直接関わるものではないからです。
モデルなどの人前に出る仕事でない限りは、こういったものは経費にできません。
また、洋服代も仕事専用のスーツ以外は経費にはならないので注意しましょう。
④所得税、住民税
所得税や住民税も経費として計上することはできません。
なぜなら税金は事業内容に関係なく、個人が支払う義務のあるものだからです。
⑤自分の健康診断
自分の健康診断費用も経費として認められません。
ただし、企業が従業員に健康診断をさせるのは義務なので、そこは経費として認められる点は注意です。
また、健康診断だけでなくその他の社員に対する福利厚生も同様に経費にできます。
経費にならないのは自分の分だけです。
ただ、フリーランスの場合、健康を害すると収入が途絶えてしまうので、健康には気をつけたいところです。
そこでおすすめしたいのが、フリーランスエージェントのサービスを利用して健康診断に行くことです。
エージェントの中にはサービスで健康診断に格安で行けるようにしてくれるところもあります。
フリーランスエンジニアにはこういった手段もあることを覚えておきましょう。
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⑥法令違反による罰金など
法令違反による罰金や交通反則金も経費になりません。
これは、業務中に発生した場合でも同じことです。
罰金や反則金を経費計上できてしまうと、罰則の効果が減少してしまうからです。
4.経費計上する際の注意点
最後に経費計上する際に注意すべきことを解説します。
これら4つのことは、フリーランスエンジニアになるなら確認しておきましょう。
- プライベート用と業務用は分けること
- 経費にしないレシートも念の為とっておく
- 領収書を貰えない場合は、出金伝票を
- 経費の割合は収入の60%が理想
なぜそれを注意すべきなのか1つずつ解説していきますね。
プライベート用と業務用は分けること
繰り返しになりますが、プライベートで使ったものは経費計上できません。
そのため、フリーランスエンジニアは、プライベート用と仕事用のものは分けておくことが重要です。
領収書やレシートは仕事用のものを別にして保管しましょう。
また、ICカードやクレジットカードは仕事用にもう1つ作成することをおすすめします。
特にクレジットカードは、仕事用のものがあると便利です。
なぜなら、クレジットカードと確定申告ツールを紐付けることで、自動的に記帳してくれるからです。
これなら何か購入した場合、一々記入する手間を省くことができます。
クレジットカードは仕事用のものなら年会費も経費にできるので、用意するのが良いです。
プライベート用の業務用は分けることを心がけておけば、確定申告のストレスを減らすことができます。
経費にしないレシートも念の為とっておく
税務調査が入ったときのために、レシートや領収書はまとめておく必要があります。
フリーランスの場合、白色申告をする場合は5年、青色申告をする場合は7年保管する義務があります。
そして、経費にする予定のないレシートや領収書も、念の為保管しておくのがおすすめです。
その方が税務調査のとき、プライベートと仕事用とのきちんと分けていることを、証明することができるからです。
購入した全てを経費にはしていない、ということを示すことで説得力が出ます。
このようなときのために、経費にしないレシートも念の為とっておきましょう。
領収書を貰えない場合は、出金伝票を
中には領収書を発行してくれないお店もあります。
こういったお店で買ったものは経費にできないのかというと、そうではありません。
領収書がもらえない場合は、出金伝票を使うのが一般的です。
出金伝票に、金額、日付、取引相手、勘定科目、支払い内容を記入しておきます。
出金伝票は税務調査のときに証明書として使用することが可能です。
出金伝票は100円ショップなどでも購入できるので、用意しておきましょう。
経費の割合は収入の60%が理想
フリーランスエンジニアでも経費にできるものは多いものの、あまり経費にしすぎると「経費を水増ししているのでは?」と疑われ税務調査が入る可能性があります。
経費の割合は収入の60%前後にとどめておくのが良いです。
たとえば、年収が500万の人なら経費は300万円未満にした方が良いでしょう。
ただ、これはあくまでフリーランスエンジニアの場合であり、飲食業や製造業なら経費がかなりかかるため、もっと高い経費率でも通る可能性があります。
フリーランスエンジニアの方は、経費の割合は収入の60%が理想であることを意識して、申告を行いましょう。
仕事関連の出費かどうかが経費にできるかの見分けポイント!
本記事ではフリーランスエンジニアが経費にできるものとできないもの、について解説しました。
フリーランスエンジニアでも、家賃やインターネット代の一部、パソコン代や周辺機器などは経費として申告することができます。
一方で、プライベートで使うものや自分の健康診断費用は経費として計上できないので注意が必要です。
どれを経費にすべきか見分けるポイントは、「仕事関連の出費かどうか」です。
それを踏まえて経費を計算するとスムーズにいくのではないかと思います。
また、経費計上の割合はフリーランスエンジニアであれば60%が理想です。
あまり経費の割合が高いと税務署に不審がられ、税務調査が入ってしまう場合があるので注意です。
また、経費計上するものは領収書やレシートを保管しておくことも忘れないようにしましょう。
白色申告ならは5年、青色申告なら7年保管する義務があります。
領収書が発行できない場合は出金伝票を代わりに用いることが可能です。
確定申告は複雑なことが多く、フリーランスエンジニアの悩みの種になりがちです。
時間がかかりすぎて本業の時間を割かなくてはいけない場合もあります。
確定申告のストレスを減らすには、前もって準備しておくことが大切ですね。
本記事が確定申告を行うフリーランスエンジニアの方にとって、有意義なものとなれれば幸いです。