フリーランスの最大のリスク「報酬未払い」対策

フリーランス報酬対策未払い

2021年3月17日 掲載

フリーランスの最大の敵といってもいい「報酬未払い」。

残念ながら結構な割合で発生します。

企業でも貸倒引当金を積んで未払いに備えていますが、フリーランスとなるとさらにリスクが増します。

フリーランスを目指す場合、報酬未払いに遭遇しないためにどうすべきか、また遭遇してしまった場合にどうすべきか、考えておくことが重要です。

本記事では報酬未払いに遭遇した場合の、基本的な対処方法を解説します。

フリーランスになる前に、こういったトラブル時の対処方法を予め考えておくことで、落ち着いて適切な対応をすることができるでしょう。

フリーランスを目指している方は本記事を参考にし、報酬未払い問題を解決できるようになってください。

(1)報酬未払いしそうな会社か見極めるのは難しい

未払いをしうる企業を見分けるのは困難!

最初に覚えておきたいのが、フリーランスがクライアントの質を見極めるのは難しいということです。

元々働いていた会社や、取引先だった会社から仕事を受け取る場合、勉強会や飲み会で知り合った会社の場合なら安心なのですが、そうでない場合、クライアントの情報を仕入れる機会がほとんどありません。

一応「帝国データバンク」という、企業のお金回りの状況について調べてくれる信用調査会社があります。

お金回りの状況を調べれば、報酬未払いしそうな会社かどうかわかります。

ただ、帝国データバンクにお願いする場合、1回あたり数万円もかかってしまうので、お金に余裕のある企業ならともかく、フリーランスは使うのが難しそうです。

こういった理由で、報酬未払いしそうな会社を見極めるのが困難ということです。

ベテランのフリーランスでも、報酬未払いトラブルに巻き込まれることは往々にしてあります。

そこで大事なのは、報酬が支払われないときにどう解決するのか、裁判を起こすのか法テラスに相談するのか、予め考えておくことです。

フリーランスの7割は報酬未払い被害にあっている

実はフリーランスの7割は、報酬未払い被害に1回は遭遇したことがあります。

フリーランスにとって報酬未払い問題は避けて通れないのです。

トラブルに巻きこまれたとき、多くのフリーランスは泣き寝入りをしてしまいます。

泣き寝入りをしてしまう理由は、どう対処すれば良いか分からない、弁護士や裁判費用が高すぎる、というものが多いです。

確かに、弁護士費用などは決して安くはありません。

しかしだからといって泣き寝入りするのは、フリーランスの立場を弱め報酬未払いを増やす危険性があります。

少額でも諦めることなく、報酬をしっかり受け取れるようアクションを起こすことが重要です。

また、後に詳しく解説しますが、あまり費用をかけずに裁判を起こす方法もあるので、そういった方法も知っておくことが大切でしょう。

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(2)未払いの対策

報酬未払いの対策を次の5つに分けて解説します。

フリーランスとして最低限、これらのことは行っておきましょう。

  • 依頼元の身元をきちんと確認
  • 依頼先が資金を持っているか
  • 要件と納品の条件・タイミングを最初に確認
  • 契約書をきちんと結ぶ
  • 完了後には請求書を発行する

正直、これら5つのを完璧にこなしたとしても、報酬未払いトラブルに巻き込まれることはあります。

しかし、こういったことを怠ると、裁判を起こす際に不利になってしまう恐れがあります。

「やるべきことはやった」というのを示すためにも、これら5つは必ず行いましょう。

1つ1つの対策について詳しく解説します。

①依頼元の身元をきちんと確認

依頼人の身元を確認しよう!

仕事を受注する前に、依頼元の身元はきちんと確認するのが重要です。

クラウドソーシングを利用する場合も、取引先がどういった会社か、会社名や事業内容はどうなっているかしっかり調べましょう。

クラウドソーシングは匿名でも登録が可能なので、怪しい企業もあります。

クラウドソーシングの場合、必ず「仮払い処理」を行ってもらってから作業を開始しましょう。

仮払いとは、取引先が一旦運営会社にお金を預けることです。

納品完了後は、運営会社からフリーランス預かったお金が渡ります。

もしクライアントと連絡が途絶えた場合、運営会社に連絡すれば仮払いしたお金を支払ってもらえます。

このように、運営会社が仲介役を担うことで、クラウドソーシングでは報酬トラブルを回避できるようになっているので、この仕組みを利用しない手はないでしょう。

問題は、クライアントと直接取引する場合です。

直接取引では仮払い処理が行われないため、契約前により慎重に情報収集する必要があります。

会社のサイトに書かれた住所を手がかりに、会社の情報を調べていきましょう。

また、契約金額が大きい場合、顔を見せずに取引するより、一度担当者と面談を行った方が良いです。

このように報酬トラブルに巻きこまれにくくするために、会社情報をよく確認しておきましょう。

②依頼先が資金を持っているか

そもそもフリーランスにお金を払う気がない企業や、外注費用をちゃんと用意していない企業があります。

設立したばかりであったり経営が苦しい中小企業であったりする場合、こういったこともあるでしょう。

こういった企業はさすがに問題ですので、契約をしてはいけません。

依頼先が資金を持っているか確認するために、会社の売上をホームページなどで確認しましょう。

上場している会社であったり、従業員数の割に売上が多かったりする企業なら安心できます。

③要件と納品の条件・タイミングを最初に確認

フリーランスエンジニアがよく巻きこまれるトラブルは、納品物が「想定と違う」と言われて受理されないことです。

要件定義を念入りに行い、開発すべきものを何度も確認したのにも関わらず、納品物に文句を言われ報酬を支払ってくれないのはよくあります。

また、何度もやり直しを要求されて、想定よりも長い時間労働しなくてはならないケースも多いです。

こういったトラブルを回避するには、「何をもって納品とするのか」契約前にしっかり定義を固めることです。

納品の条件・タイミングは最初に確認しましょう。

また、作業期間中も計画内容に変更がないか、ときどき確認を取るのが大事です。

システムの仕様が変更になっても、向こうから連絡してこない場合があるからです。

④契約書をきちんと結ぶ

契約書をきちんと結ぼう

作業前に契約書を結ばないフリーランスもいますが、契約書は必ず結びましょう。

契約書がなくても打ち合わせの記録やメールの内容が残っていれば、裁判で証拠として使える可能性もあります。

ただ、契約書がないと仕事内容や報酬支払日が曖昧になることも多く、お互いにあやふやなまま作業することになりかねません。

契約内容があやふやなままだと、成果物のやり直しを求められる可能性も高くなります。

作業前に契約書をきちんと結び、印鑑を押してもらうようにしましょう。

特にSNS経由で仕事を獲得する場合、契約がいい加減になるケースが多いです。

SNS経由だと企業側が軽い気持ちで依頼することが多く、トラブルに巻き込まれやすいです。

SNSの書き込みはいつでも削除ができるので、証拠として提示することができず、裁判で勝てる可能性が下がってしまいます。

SNS経由で獲得した場合も契約書を結び、相手の住所やメールアドレスなどを確認し、アカウントが削除されても連絡ができるようにしましょう。

⑤完了後には請求書を発行する

作業が完了したときは、請求書を発行するようにしましょう。

請求書は「仕事を完遂した」という証拠になります。

請求書を出さないと、相手がまだ仕事が終わっていないと勘違いし、報酬を支払わないこともあります。

また、請求書には支払い期日を必ず記載しましょう。

支払い期日は契約書に書かれていますので確認してください。

作業完了から60日以内に支払うことが下請け法により定まっています。

請求書はエクセルで作成しても良いですが、「Misoca」のような作成ソフトを使う手もあります。

「Misoca」を使えば数分で請求書が作れます。

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(3)未払いが起きた時は

クライアント選びに気をつけていても未払いが起きる時はあります。

そんな場合にはどうすべきか対処方法を解説します。

  • 内容証明を送る
  • 少額訴訟の検討

これら2つの方法を取れば、基本的に報酬は支払ってもらえます。

ただ、やり方を知らないと少し面倒に感じるかもしれません。

フリーランスになる前に2つの手順は確認しておくようにしましょう。

①内容証明を送る

支払いが予定日より送れている場合、まずはクライアントに連絡を送りましょう。

相手が単純に支払いを忘れている場合もあるからです。

相手から返事がない場合や、報酬を支払う意思がないと判明した場合は「内容証明」を送ります。

内容証明には、「支払い期限が過ぎている」「このまま支払いがなければ法的手段を取る」ということを書きましょう。

内容証明を送ることで、支払う気がない企業に圧力をかけることができます。

また、裁判時に支払いを督促したことの証拠にもなります。

ただし注意点がいくつかあります。

内容証明を送るのは、相手が絶対に支払ってくれないと分かった場合のみです。

相手の勘違いである可能性が少しでもある場合、送るべきではありません。

なぜなら、内容証明を送るというは相手と敵対するということであり、今後仕事をもらうことができなくなるからです。

また、脅迫的な文章は書かないようにしましょう。

脅迫罪や恐喝罪でこっちが逆に訴えられてしまったら大変です。

もし内容証明の書き方が分からない場合、弁護士などの専門家に依頼する手もあります。

弁護士に依頼した方が、法律的に正しい文章を送れるのと、法律に則って処理することができるメリットがあります。

踏み倒されていることに怒りを感じるのは尤もですが、感情的にならず法的な手続きを粛々と行って報酬を回収しましょう。

②少額訴訟の検討

少額訴訟も検討しよう

内容証明を送っても効果がない場合にやるべきことは、裁判所に「支払督促」を送ってもらうことです。

支払督促の方がより相手に強い圧力を与えることができます。

まず裁判所のホームページから支払督促の申立書をダウンロードします。

申立書を書いたら簡易裁判所に支払督促を依頼すれば良いだけです。

支払督促を送っても反応がない場合、裁判へと移行せざるを得なくなります。

「少額でも訴訟って起こせる?」「裁判費用が高くてむしろ損しない」と思うかもしれませんが、実は「少額訴訟」という制度があるのです。

少額訴訟とは、請求額が60万円以下の場合に簡易裁判所に訴えられる制度のことです。

弁護士に依頼しなくて良いので、費用は1万円かからないことがほとんどです。

10万円程度の金額を請求する場合でも十分に正当に受け取るべき報酬を回収できます。

意外と安く手間もそこまでかからないので、少額訴訟を起こすことを検討してみてください。

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まとめ

本記事ではフリーランスが報酬未払いトラブルに巻き込まれた場合の対処方法を解説しました。

フリーランスの7割はトラブルに巻き込まれた経験があり、報酬未払いはフリーランスにとって避けられない問題です。

トラブルになるべく巻き込まれないためには、依頼元がどういう会社か、住所、売上、電話番号などきちんと確認しておくことが大事でしょう。

また、仕事内容は作業開始前にしっかりヒアリングすることも重要です。

「納品物が想定と違うじゃないか!」と言われ報酬を支払ってもらえないケースはよくあります。

「何を持って納品とするのか」定義をお互いに把握すればこういったトラブルは防げます。

そして、契約前には「契約書」を結び、納品完了後には「請求書」を提出しましょう。

こういった書類は契約したという証拠になり、あるのとないのとでは裁判で勝てる確率が違います。

未払いが起きた時に自分で対応するのは精神が疲弊しますし、時間を取られます。

それであればさっさと裁判してしまった方が早いケースがあります。

少額訴訟ならそこまでお金はかかりませんし、フリーランスの立場を弱くしないためにも、裁判を起こすことをおすすめします。

本記事がフリーランスを目指す方にとって、有意義なものとなれば幸いです。

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